「レモンに含まれる栄養素は?」
そう聞かれたら、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「ビタミンC」ではないでしょうか。
私も以前はそうでした。
レモンは酸っぱい。
酸っぱいからビタミンCが多そう。
健康によさそう。
そのくらいのイメージです。
ところがレモンについて詳しく調べてみると、ビタミンC以外にも興味深い成分が含まれていることが分かります。
その一つが、「エリオシトリン」です。
あまり耳慣れない名前ですが、エリオシトリンはレモンに含まれるフラボノイドの一種です。
そして、この成分について研究を調べていくと、ちょっと意外な事実が出てきます。
注目したいのは「果汁」だけではありません。
私たちが普段、搾ったあとに捨ててしまう「皮」にも多く存在しているのです。
1997年の研究では、研究対象となったレモンの果皮に約1,500ppm、果汁に約200ppmのエリオシトリンが存在していたと報告されています。
[出典:エリオシトリンに関する原著論文/J-STAGE]

「それなら皮まで食べたほうが健康にいいのでは?」
そう思われるかもしれません。
ただ、ここで少し注意が必要です。
インターネット上では、
「強力な抗酸化成分だから老化を防ぐ」
「生活習慣病を予防する」
「免疫力を高める」
といった表現につながることがあります。
しかし、研究で「抗酸化活性が確認された」ということと、人がレモンを食べれば「老化や病気を防げる」ということは同じではありません。
この違いは非常に大切です。
この記事では、レモンを「万能な健康食品」として紹介するのではなく、
エリオシトリンとは何なのか。
どの部分に多く含まれるのか。
研究では何が確認されているのか。
反対に、まだ何が分かっていないのか。
そして、普段の食事にレモンをどう取り入れればよいのか。
50代・60代の方にも分かりやすいよう、順番に見ていきます。
- 50代・60代になると「抗酸化」という言葉が気になってくる
- エリオシトリンとは何?
- 「抗酸化作用がある」と「人の老化を防ぐ」は同じではない
- レモンで一番興味深いのは「皮」かもしれない
- レモンにはエリオシトリン以外のフラボノイドもある
- クエン酸との組み合わせが研究されている
- エリオシトリンで生活習慣病を予防できる?
- レモンの「香り」についても興味深い研究がある
- 50代・60代でも取り入れやすいレモンの使い方
- レモンの皮を食べるなら表示を確認しよう
- 「体にいいなら大量に」が一番危ない
- サプリメントでエリオシトリンを摂ったほうがいい?
- 50代・60代の健康は「一つの食品」では決まらない
- 「若返る食べ物」を探すより「続けられる食生活」を
- 完璧な健康生活を目指さなくていい
- レモンを食生活に取り入れやすい人
- まとめ|レモンを見る目が少し変われば、それで十分
50代・60代になると「抗酸化」という言葉が気になってくる
50代を過ぎるころから、健康について調べる機会が増えたという人は多いのではないでしょうか。
健康診断の数字。
血圧。
血糖。
コレステロール。
体重。
疲れやすさ。
眠り。
若いころにはそれほど意識していなかったものが、少しずつ身近になってきます。
そんな健康情報の中で頻繁に登場する言葉が、「抗酸化」です。
ところが、この言葉は少し注意して受け取る必要があります。
「抗酸化」という言葉そのものが、病気を防ぐことを意味するわけではないからです。
私たちの体では、生命活動に伴って活性酸素などが生じています。
活性酸素そのものがすべて悪いわけではなく、体の働きの一部にも関わっています。
一方で、酸化に関係する物質の生成と、それに対抗する体内の仕組みとのバランスが崩れる状態は「酸化ストレス」と呼ばれ、さまざまな分野で研究されています。

そこで食品研究でも注目されてきたのが、植物に含まれるさまざまな成分です。
その代表的なグループの一つがポリフェノールです。
レモンにも、いくつものフラボノイドが存在することが確認されています。
1998年の研究では、レモン果皮の抽出物から、エリオシトリンをはじめ、ネオエリオシトリン、ナリルチン、ナリンギン、ヘスペリジンなど複数のフラボノイド配糖体が確認されています。
→ レモン果皮のフラボノイドに関する原著論文(J-STAGE)
つまりレモンは、
「ビタミンCが入った酸っぱい果物」という一言だけでは語れない食品なのです。
エリオシトリンとは何?
では、今回の主役である「エリオシトリン」とは何でしょうか。
専門的には、エリオシトリンはフラバノン配糖体に分類されるフラボノイドの一種です。
いきなり難しい言葉が出てきましたが、この記事では、
「レモンに特徴的に含まれているポリフェノールの仲間」
くらいに理解しておけば十分です。
エリオシトリンが研究者から注目されてきた理由の一つが、その抗酸化活性です。
1997年の研究では、レモンからエリオシトリンを分離し、リノール酸の自動酸化を利用した実験系で抗酸化活性が調べられました。
その結果、この実験条件ではエリオシトリンがα-トコフェロール、つまりビタミンEと同程度の抗酸化活性を示し、さらにクエン酸と併用すると、その活性が高まったと報告されています。
→ エリオシトリンの抗酸化活性を調べた研究(J-STAGE)
ここだけ読むと、
「すごい。ではレモンを食べれば老化を防げるのでは?」
と思ってしまいます。
しかし、ここが健康情報を見るときの重要な分岐点です。
「抗酸化作用がある」と「人の老化を防ぐ」は同じではない
健康記事で特に注意したいのが、この二つを一緒にしてしまうことです。
研究室の実験で、「酸化を抑える作用が確認された」という結果が出たとします。
しかし、そこからすぐに、
「これを食べれば人間の老化が遅くなる」とは言えません。
なぜなら、私たちが食品を食べると、その成分は消化管を通り、吸収され、代謝されます。
食品中に存在した形のまま、すべてがそのまま全身に届くわけではありません。
ポリフェノールについても、摂取後の吸収、代謝、生体利用性などが重要であり、その体内動態については現在も研究が続けられています。(J-STAGE)
そのため、
「エリオシトリンには抗酸化活性についての研究がある」という表現と、
「エリオシトリンを摂れば老化を予防できる」
という表現の間には、大きな違いがあります。
この記事では前者までを紹介します。
後者については、現時点で一般の人にそう断定できる十分な根拠があるとは言えません。
ここを曖昧にしないことが、健康情報では大切です。
レモンで一番興味深いのは「皮」かもしれない

エリオシトリンについて私が特に面白いと感じたのは、その存在する場所です。
私たちはレモンを使うとき、
半分に切る。
ギュッと搾る。
魚や料理にかける。
そして皮を捨てる。
そんな使い方をすることが多いでしょう。
エリオシトリンを調べた研究では、研究対象となったレモンの果皮で約1,500ppm、果汁で約200ppmと報告されています。
また別の研究でも、レモンに含まれる複数のフラボノイド配糖体について、主として果皮に存在していたと報告されています。
→ レモン果皮に含まれるフラボノイドの研究(J-STAGE)
もちろん、品種、栽培条件、成熟度、測定条件などによって含有量は変わる可能性があります。
ですから、
「すべてのレモンの皮には果汁の7.5倍のエリオシトリンが入っている」
などと一般化することはできません。
しかし、
「レモンのフラボノイドを考えるなら、果汁だけでなく果皮にも注目する価値がある」
とは言えるでしょう。
今まで何気なく捨てていた部分を見る目が少し変わってきます。
レモンにはエリオシトリン以外のフラボノイドもある
レモンの話が面白いのは、エリオシトリンだけではありません。
研究ではレモン果皮から、
エリオシトリン、
ネオエリオシトリン、
ナリルチン、
ナリンギン、
ヘスペリジン、
ネオヘスペリジン、
ジオスミンなど、
複数のフラボノイド類が確認されています。
つまり、「レモン=エリオシトリン」でもありません。
一個の食品には、たくさんの成分が存在しています。
ここは健康食品やサプリメントを考えるときにも覚えておきたいところです。
「○○成分だけを取り出せば、その食品と同じ」とは限らないからです。
普段の食品としてレモンを楽しむことと、特定成分を濃縮した製品を摂取することは分けて考える必要があります。

クエン酸との組み合わせが研究されている
レモンの代表的な成分として、もう一つよく知られているのがクエン酸です。
先ほど紹介した1997年の実験では、エリオシトリン単独だけでなく、クエン酸と組み合わせた場合についても調べられています。
その実験系では、エリオシトリンの抗酸化活性がクエン酸との併用によって高まったと報告されています。
→ エリオシトリンとクエン酸についての研究(J-STAGE)
「レモンという食品には、エリオシトリンもクエン酸も入っている」
と考えると、とても興味深い結果です。
ただし、ここでも一線は越えないようにしましょう。
この研究結果から、
「エリオシトリンとクエン酸を一緒に摂れば、人間の老化を抑えられる」とまでは言えません。
あくまでも特定の実験条件で確認された抗酸化活性についての結果です。
健康情報は、
「研究で分かったこと」
よりも、
「そこから何を言えるか」
のほうが重要な場合があります。
エリオシトリンで生活習慣病を予防できる?
50代・60代の方なら、ここも気になるでしょう。
高血圧。
糖尿病。
脂質異常症。
動脈硬化。
こうした言葉を健康診断やテレビ番組で目にする機会が増えてきます。
ポリフェノールや抗酸化という言葉と生活習慣病が一緒に紹介されることも珍しくありません。
しかし、
「エリオシトリンが入っているレモンを食べれば生活習慣病を予防できる」と考えるのは早計です。
生活習慣病は、食事全体、運動、睡眠、喫煙、飲酒、体重、遺伝的背景、加齢など、多数の要因が複雑に関係します。

一つの食品だけを取り出して、
「これを食べれば予防できる」
というほど単純ではありません。
だからこの記事でも、
「生活習慣病予防にレモン」という勧め方はしません。
研究対象としてレモン由来のフラボノイドが注目されていることと、一般の人に疾病予防を目的として推奨できることは別の話だからです。
レモンの「香り」についても興味深い研究がある

レモンには、栄養成分とは少し違った魅力もあります。
それが「香り」です。
レモンを切った瞬間に広がる爽やかな香り。
あれが好きだという方は多いのではないでしょうか。
レモンなどの柑橘類に特徴的な香りに関係する成分の一つがリモネンです。
では、
「レモンの香りを嗅ぐと自律神経が整う」のでしょうか。
ここも少し慎重に見たほうがよさそうです。
レモンなどの香りと心理状態や生理反応との関係については、人を対象とした研究も行われています。
たとえば、レモンオイル、ラベンダー、水を比較した研究では、レモンオイルの香りと気分などとの関係が検討されています。
→ レモンの香りと気分などについて調べた研究(PubMed)
一方、別のd-(+)-リモネンを扱った研究では、リモネンそのものに特有の気分改善作用というよりも、その香りを本人が「心地よい」と評価することが気分と関係していたと報告されています。(PubMed)
つまり、
「リモネンを嗅げば誰でもリラックスする」
「レモンの香りで自律神経が正常になる」
と単純に言える話ではありません。
香りの感じ方には個人差もあります。
現段階では、
「レモンなどの香りと気分・生理反応との関係について、人を対象とした研究も行われている」
くらいに理解しておくのが適切でしょう。
50代・60代でも取り入れやすいレモンの使い方

ここまで読むと、
「研究の話は分かった。でも結局どう食べればいいの?」
と思いますよね。
難しい健康法にする必要はありません。
むしろレモンの良さは、普通の食材として日々の料理に取り入れやすいことにあります。
焼き魚にひと搾り
これは定番です。
サンマ、サバ、鮭、白身魚など、さまざまな魚に合います。
「健康のためにレモンを摂取する」というより、
「味がおいしくなるから使う」
くらいで十分でしょう。
サラダに使う
レモン果汁にオリーブオイルなどを合わせれば、シンプルなドレッシングとして使えます。
酸味が加わることで料理の印象が変わります。
塩分を制限する必要がある方は、具体的な食事内容について医療従事者や管理栄養士の指導を優先してください。
無糖の炭酸水や水に加える
水だけでは少し物足りないという方なら、レモンを一切れ加えるという方法もあります。
ただし、
「朝のレモン水で脂肪が燃える」
「レモン水でデトックスできる」
といった効果を期待する必要はありません。
単純に水分を楽しんで飲むための一つの方法と考えるのがよいでしょう。
料理の香り付けとして皮を少量使う
皮まで利用できるレモンであれば、よく洗い、表面を少量すりおろして魚料理、肉料理、サラダなどに加える方法があります。
少量でも香りが強いので、それほどたくさん必要ありません。
「健康成分をたくさん摂らなければ」
と考えるのではなく、
料理を楽しむ範囲で取り入れるほうが自然です。
レモンの皮を食べるなら表示を確認しよう
この記事で、
「エリオシトリンなどのフラボノイドは皮にも多い」と知ると、
今まで捨てていた皮を食べてみようと思う方もいるでしょう。
ここで確認しておきたいのが、防かび剤などの表示です。
レモンの皮まで利用する場合に確認しておきたいのが、防かび剤などの表示です。
厚生労働省では、輸入食品について食品衛生法に基づく監視や検査を実施しており、防ばい剤などの添加物もモニタリング検査の対象としています。
輸入レモンなどを皮まで利用するときは、商品の表示を確認したうえで用途に合ったものを選びましょう。
→ 輸入食品の安全性や監視について(厚生労働省)
だからといって、「輸入レモンは危険」という意味ではありません。
使用が認められている食品添加物には基準があります。
大切なのは、皮まで使いたいときには表示を確認し、自分の用途に合った商品を選ぶことです。
「国産だから何も確認しなくていい」
「輸入だから食べてはいけない」
という単純な二択にする必要はありません。
皮を利用するなら、
表示を確認する。
よく洗う。
皮まで使う用途を考えて商品を選ぶ。
この基本を押さえておけばよいでしょう。
「体にいいなら大量に」が一番危ない

健康情報を見ていると、私たちはつい、
「少し体によいなら、たくさん摂ればもっとよい」と考えてしまいます。
でも、この考え方はおすすめできません。
レモンも食品です。
薬ではありません。
エリオシトリンに興味深い研究があるからといって、
毎日大量のレモンを食べる。
大量の果皮を摂取する。
特定成分を大量に摂取する。
必要はありません。
胃腸の状態などによっては酸味の強い食品が合わない人もいます。
また、持病がある方、服薬中の方、医師から食事について指示を受けている方は、一般的な健康情報よりも個別の医療上の指示を優先してください。
サプリメントでエリオシトリンを摂ったほうがいい?
エリオシトリンという名前を知ると、
「だったら、この成分を濃縮したサプリメントのほうが効率がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、この記事では特定のエリオシトリンサプリメントの摂取を推奨しません。
理由は単純です。
「レモンという食品を普通に食べること」と、
「特定成分を濃縮して摂取すること」は、
同じではないからです。
レモンは、
エリオシトリンだけでできているわけではありません。
複数のフラボノイド。
ビタミン類。
有機酸。
香気成分。
水分。
そのほか多くの成分から成り立っています。
しかも人が食品を摂取したあとには、消化・吸収・代謝が起こります。
ポリフェノールについては生体利用性や体内での代謝も重要であり、これらについて現在も研究されています。(J-STAGE)
「抗酸化作用が研究されている」
という情報だけを根拠に、
「濃縮してたくさん摂ればもっと健康になれる」
と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
50代・60代の健康は「一つの食品」では決まらない
ここまでレモンについて長く書いてきました。
しかし、この記事で一番伝えたいのは、
「レモンを食べましょう」ではありません。
50代・60代になって健康が気になってくると、私たちはどうしても、
「何を食べればいいのか」
という答えを探したくなります。
テレビで、
○○が健康によい。
インターネットで、
△△を食べるとよい。
今度は、
□□が注目されている。
そのたびに新しいものを買う。
でも、本当の健康管理はもっと地味です。
食事全体を見る。
無理のない範囲で体を動かす。
睡眠をとる。
定期的に健康診断を受ける。
異常があれば医療機関で相談する。
喫煙しているなら禁煙について考える。
お酒の量にも目を向ける。
そうした基本の積み重ねの中に、
「今日は魚にレモンを搾ろう」という小さな選択がある。
私は、そのくらいに考えるのがちょうどいいと思います。
「若返る食べ物」を探すより「続けられる食生活」を

50代・60代向けの健康情報を見ていると、
「老化防止」
「若返り」
「病気予防」
という言葉が非常に多く使われています。
気になる気持ちはよく分かります。
鏡を見る。
昔ほど体力がない。
健康診断の数字が気になる。
階段で息が切れる。
友人との会話に病気の話が増えてくる。
そうなれば、
「何か体にいいものを」
と思うのは自然です。
だからこそ、一つの食品に過度な期待をしないことが大切です。
エリオシトリンには抗酸化活性についての研究があります。
レモン果皮には、エリオシトリンをはじめとした複数のフラボノイドが存在します。
これは興味深い事実です。
でも、
「だからレモンで若返る」に変換する必要はありません。
研究そのものを、そのまま面白がればいいのです。
普段何気なく食べていたレモンに、「こんな成分まで入っていたんだ」と知る。
そして、
「だったら今度、皮まで使えるレモンを料理に使ってみようかな」と思う。
そのくらいが、健康情報とのちょうどよい付き合い方ではないでしょうか。
完璧な健康生活を目指さなくていい
50代・60代になると、健康のためにやったほうがよいことはいくらでも出てきます。
野菜を食べる。
魚を食べる。
運動する。
よく眠る。
体重を管理する。
飲酒量を見直す。
健康診断を受ける。
歯のケアをする。
筋力を維持する。
人と交流する。
全部やろうとすると、健康になる前に疲れてしまいます。
正直に言うと、すべてを完璧に整えるのは難しいです。だからこそ無理なく続けられる方法が選ばれています。
レモンも同じです。
「毎朝レモン水を飲まなければならない」
「毎日皮まで食べなければならない」
そんなルールを作る必要はありません。
焼き魚の日にレモンを搾る。
たまにサラダに使う。
炭酸水に一切れ入れる。
料理によっては皮を少し使う。
それで十分です。
健康というのは、
一日だけ完璧にすることではなく、
長く続けられる生活を作ることのほうが大切なのではないでしょうか。
レモンを食生活に取り入れやすい人

レモンは特別な健康食品ではありません。
だからこそ、こんな方には取り入れやすいでしょう。
健康を意識し始めたけれど、極端な食事法は続けたくない方。
50代・60代になり、普段の食事を少し見直したい方。
魚やサラダなど、いつもの料理に変化を加えたい方。
甘い飲み物以外の選択肢を増やしたい方。
レモンを果汁だけでなく料理にも利用してみたい方。
逆に、
「これを食べれば病気にならない」
「これで若返る」
「大量に摂れば健康効果が高まる」
という目的で利用する食品ではありません。
まとめ|レモンを見る目が少し変われば、それで十分
レモンといえばビタミンC。
もちろん、それだけでも間違いではありません。
でも、調べてみるとレモンには、それ以外にも興味深い成分があります。
その一つが、フラボノイドの一種であるエリオシトリンです。
研究では、エリオシトリンがレモンの果汁だけでなく果皮にも存在し、特に果皮に多く含まれていたことが報告されています。
また、レモンの果皮にはエリオシトリン以外にも複数のフラボノイド類が確認されています。
エリオシトリンについては、実験系で抗酸化活性が確認され、クエン酸との併用によってその活性が高まったという研究結果もあります。
一方で、
レモンを食べれば老化を防げる。
生活習慣病を予防できる。
免疫力が上がる。
といったところまで、この記事の根拠から断定することはできません。
レモンの香りについても、人の気分などとの関係を調べた研究はありますが、「自律神経が整う」と単純に言い切れるものではありません。(PubMed)
だから、
「レモンは奇跡の健康食品です」という結論にはしません。
私がこの記事を通して伝えたいのは、もっと身近なことです。
次にレモンを手に取ったとき、
「ビタミンCだけじゃなかったんだな」と思い出してみてください。
そして皮まで利用するなら、表示を確認して、料理の香り付けなどに少量利用してみる。
魚にひと搾りする。
サラダに加える。
水や無糖炭酸水に入れてみる。
そのくらいでいいのです。
健康のために大切なのは、一つの食品を信じ切ることではありません。
普段の食生活を少しずつ整えていくこと。
その小さな選択肢の一つとして、レモンを楽しんでみてはいかがでしょうか。
より詳しいレモンの効能や、レモンを活用した家庭でできるレシピ、また瀬戸田レモンやレモン加工品等のご購入はコチラのサイトをご覧ください。
スーパーでレモンを手にしたら、今回は果汁だけでなく「皮」にも少し注目してみてください。
ただし、皮を利用する場合は防かび剤などの表示を確認し、よく洗ったうえで料理に利用しましょう。
そして何より、「体によいから食べなければ」ではなく、「おいしいから、無理なく続けられる」ことを大切にしてください。
毎日の食事は、一つの健康成分だけで決まるものではありません。
小さな習慣を、無理なく続ける。
50代・60代からの健康との付き合い方は、それくらいがちょうどいいのかもしれません。
参考文献・参考資料
本記事では、健康効果を断定するのではなく、以下の学術論文・公的資料などを参考に、現在確認できる範囲の情報を紹介しています。
エリオシトリンの含有量・抗酸化活性
Miyake Y, Yamamoto K, Osawa T.
“Isolation of Eriocitrin (Eriodictyol 7-rutinoside) from Lemon Fruit (Citrus limon BURM. f.) and Its Antioxidative Activity.”
Food Science and Technology International, Tokyo. 1997;3(1):84-89.
レモン果皮に含まれるフラボノイド
Miyake Y, Yamamoto K, Morimitsu Y, Osawa T.
“Characteristics of Antioxidative Flavonoid Glycosides in Lemon Fruit.”
Food Science and Technology International, Tokyo. 1998;4(1):48-53.
レモンの香りと気分などに関する研究
Kiecolt-Glaser JK, et al.
“Olfactory influences on mood and autonomic, endocrine, and immune function.”
Psychoneuroendocrinology. 2008.
輸入食品の安全性について
厚生労働省
「輸入食品監視業務FAQ」
本記事の情報について
本記事は、レモンおよびエリオシトリンに関する学術論文、公的機関が公開している食品安全情報などを確認し、一般の方にも理解しやすい形に整理しています。
研究室で確認された作用と、人が食品として摂取した場合の健康効果を区別し、疾病の治療・予防や若返りなどについて、根拠を超えた断定をしないことを編集方針としています。
食品や栄養に関する研究結果は、研究対象、摂取量、研究方法などによって異なる場合があります。紹介した研究結果が、すべての人に同じ健康上の結果をもたらすことを意味するものではありません。
免責事項
本記事は、食品および栄養についての一般的な情報提供を目的としており、医師・管理栄養士などによる個別の医学的・栄養学的助言に代わるものではありません。
疾病の診断、治療、予防を目的としたものでもありません。
持病のある方、服薬中の方、食物アレルギーのある方、医療機関から食事について指示を受けている方は、必要に応じて医師、薬剤師、管理栄養士などの専門家にご相談ください。

